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2026年3月31日

インド出張㉑(バイヤー面談:インド市場の全体像)

JETROムンバイで、バイヤー面談をしました。

日本の方で話しがとても面白く参考になりました。

頂いたお話しを出来る限りまとめました。

1. インドは「28の国」の集合体

インドは28州からなる連邦国家であり、実態はEUのような「複数の国の集合体」と考えるべき市場です。

  • 言語・宗教・食文化・人の気質が州ごとに大きく異なる

  • 州をまたぐビジネス展開は難易度が高い

  • 「インド攻略」ではなく「特定州攻略」が基本戦略

成功の第一歩は、どの州で勝負するかを決めることです。

 

2. 人口と購買力の現実

  • 人口:約14億人(将来的に17億人規模へ)

  • ただし大半は農業従事者

  • ホワイトカラー層は約400万人と限定的

「人口=市場規模」とは単純に言えません。

しかし、

  • 家族同居文化が基本

  • 若年層は家賃・食費負担が少ない
    → 可処分所得が比較的多い

今後は核家族化が進み、消費行動は変化していく見込みです。

 

3. 主要州の特徴

 マハラシュトラ州(ムンバイ)

  • 人口は日本と同規模

  • ムンバイ=東京

  • プネ=大阪

  • インド最大の港

  • 日本からのコンテナの主な玄関口

  • デリーへは陸送約1日

  • 商売がしやすい州

インド市場の最重要エリア。

ゴア州

  • 人口150万人

  • 95%ノンベジタリアン

  • 酒類販売可

  • 観光リゾート州

  • 旧ポルトガル領で食文化が多様

禁酒州

28州中7州は酒類販売禁止。
酒ビジネスは州選定が最重要。

 

4. 食文化の特徴

魚消費量

  • インド平均:年間5kg

  • 日本:25kg

  • 南部州:25kg

州による差が非常に大きい。

味覚傾向

  • 苦味が苦手

  • ゆず人気あり

  • ゆず胡椒は「万能調味料」イメージ

  • フレッシュライムソーダは国民的飲料(日本の麦茶のイメージ)

冷たい料理文化が弱い

  • 冷たい物を食べる文化が浸透していない

  • 冷凍食品は近年拡大中だがまだ限定的

麺に対する認識

  • コシのあるうどん=「茹で不足」と誤解されやすい

  • 細うどんはラーメンやパスタとしても使われ得る

重要なのは、

日本式を押し付けないこと

基本の使い方は伝え、応用は現地に任せる。

 

5. 日本食の現状

  • 世界:約18万店舗

  • インド:約600店舗

  • 純日本食店:約10店舗

  • アジアンフュージョン:約240店舗

有名店:
Wasaabi / Nobu / Zuma / Izumi

ただし、

富裕層も基本はインド料理を食べる。
家庭ではメイドが料理を作るため、日本食は広がりにくい。

 

6. 日本食普及の考え方

重要なのは「美味しいかどうか」ではなく、

食べる回数を増やすこと

  • 慣れを作る

  • なんちゃって日本食も歓迎

  • ハードルを下げることが市場拡大につながる

 

7. 訪日インド人の影響

  • 年間30万人訪日

  • 訪日ランキングトップ10入り

  • 今後も増加見込み

日本での体験が口コミで拡散する。

一方で、

  • 欧米志向が強い

  • 日本は心理的距離がある

  • 韓国コンテンツは浸透中

  • アメリカへの憧れが強い

日本はまだ「未知の国」。

 

8. ビジネス・価格戦略の本質

① 価格設定

価格は

現地商品の2~2.5倍までが現実的上限

それ以上は市場が限定的になる。

日本価格基準ではなく、現地基準で設計する必要がある。

 

② 見た目の価格が重要

インド市場では

  • 単価が安いことが重要

  • 量が多くても総額が高いと売れにくい

「今日はこれだけ使う」という考え方が強い。

例:

  • ガソリンも必要分だけ

  • おむつも使う分だけ

長期的コスパより、
今日払う金額の安さが優先

パッケージ設計は小容量・低単価が有効。

 

③ カテゴリー選定が最優先

まずやるべきは:

  1. どのカテゴリーがインドに入れられるか(規制確認)

  2. 需要があるか

  3. コスト構造は成立するか

  4. 長期で育てられるか

いきなり商品を売るのではなく、
市場適合性の検証が最優先。


④ 規制対応

  • 添加物規制が厳しい

  • 甘い日本の醤油はNGの可能性

  • 日本語ラベルを隠してはいけない

事前の法規確認は必須。

 

⑤ 分業社会

  • インポーターは輸入のみ

  • それ以外は行わない

  • 利権構造あり

さらに、消費者の方が情報量が多いケースもある。

需要主導で動く市場。

 

 

9. コスト構造

  • 一般従業員:月約2万円

  • 料理長:7~8万円

低賃金だが、
物流・規制・輸入コストが重い。

 

10. 長期戦略が前提

インド市場は

短期回収型ではない

  • 小さく始める

  • 長く育てる

  • 慣れを作る

中小企業には難易度が高い市場。

 

まとめ:インド攻略の原則

  1. 州を絞る

  2. カテゴリーを精査する

  3. 需要がある場所に入る

  4. 日本式を押し付けない

  5. 価格は現地の2~2.5倍以内

  6. 見た目の単価を下げる

  7. 小容量戦略を考える

  8. 長期視点で育てる

 

インドは「巨大市場」ではなく、

多層・分断・多文化市場

成功の鍵は、州戦略 × 現地化 × 価格設計 × 長期視点

です。